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私のアマチュア無線雑感

 高校に入り、無線関係をやっているという物理クラブに入部、いきなり電話級アマチュア無線技士の挑戦をし、その年に合格。当時、クラブにはTRIOの59ラインがあった。
 しかし、クラブとは名ばかりの毎日が無線などに関するおしゃべりばかりで、ラジオの製作をやったぐらい。アマチュア無線の活動はなかったように記憶している。

 個人的にはアルバイトをして貯めたお金で、TRIOのTX88ラインを中古で2万円ぐらいで購入。当時はAM(振幅変調)が主流で、3.5Mhzや7Mhzの混信と戦うも毎日をエンジョイしていたものである。21や28Mhzでは遠く九州や沖縄との局と交信(QSO)できたことを自慢げに友に話したことを覚えている。旧ソ連なども近くであり比較的楽にQSOできたが、外国の局とやったとの驚きとうれしさがあった。

 昭和40年半ばから本格的にSSBの時代に入ってきて、YAESUのFT101を購入、飛躍的に交信範囲が広がった。全国の「市」との局との交信を対象とするJCCアワードに挑戦、昭和53年2月で645市があったが、616市まで交信した。
 資格取得も電信級、そして二級とグレードアップしてきた。好きなことを勉強するには苦にはならない。試験場所はいずれも東京。二級は法規、無線工学、電気通信術(送信・受信)と2日を要したが、現在はかなり試験科目や内容も緩和されたようだ。

 アマチュア無線をするときには、必ず業務日誌に交信記録を記載しなければならないが、当時の日誌をみると1968年〜1978年の10年間が国内中心の交信、1979年〜1997年の18年間が海外(DX)中心の運用スタイルになっている。
 現在はというと、一時休止(無線用語でQRTという)の状態である。

主なリグの変遷
 ・TRIO TX88ライン (TX88A+9R59)
 ・YAESU FT-101
 ・YAESU FTDX-400
 ・YAESU 101ライン (FL101+FR101)
 ・ICOM IC-750
 ・KENWOOD TS-680V

 海外との交信となると常用語は当然英語になる。学校時代の英語の成績がもろに反映してしまい、時すでに遅しの感が強い。それでも好きなことへの挑戦は身につくものだ。交信するに必要な、お決まりの英会話(ラバースタンプ?)は覚えた。

 海外をやるようになって、また新たな友人も多く増えた。友人は一方でライバルでもあり、よい刺激になる。また、アンテナ工事などの時の貴重なお助けマンでもある。助け合いの精神で協力しあったものである。毎日の情報交換もコンピュータを使うようになったり、会合も積極的に参加し内外の有名人ともふれあうことができた。

VK9NS Jimを迎えて(27Aug'90宇都宮)

ローカルのDX仲間と

 海外との交信で目標にするものがある。それは、アメリカの無線団体であるARRL(American Radio Relay League)が規定したDXCC(DX Century Club )というアワードがあり、これは世界の国、地域などをひとつの国(カントリー)とし、当時は国としては150数カ国が存在していいたが、無線上のカントリーは323としたもので、日本でいえば日本本土、小笠原諸島、南鳥島諸島の3つがカントリーとして規定されている。(現在はカントリーということばでなく「Entity」 というが、古い人間なので便宜上ここでは、カントリーとしている)

 このカントリーと交信し、交信証がなければ認められないというもので、この交信証をARRLに提出し、あなたは現在○○カントリーですという賞状とカントリー数が印刷されたステッカーが贈られる。また、オーナーロールの域に達すると、申請をすれば立派な盾が贈られる。山にたとえれば日本百名山をどれだけ登ったかを競うようなものであり、無線界でもこれを競って全世界の仲間がこのアワードに興味をもったものである。

当局のコールサインも久しく追加申請をしていないが、現在、次のページに「DXCCHonor Roll」としてリストされている。  http://www.arrl.org/dxcc-standings

 カントリーといえども、そのカントリーに1人しか無線の許可が下りていない場合や、人が住んでいるとは限らない。年中氷で閉ざされた島や立ち入り禁止の島などもあり、そこまで誰かが行かなければ交信できないし、行くには管轄する国との運用交渉、機材、船代、時にはヘリコプター等莫大な費用と日数がかかる。過去には少額ながらも寄付もしたことがある。また、内戦など政情不安な国などは無線を禁止していることがあり、交信は不可能である。こういったレア・カントリーに位置するところには、DXぺディションと称し、グループなどが出かけることがある。当然全世界のハムが注目しているし、情報も氾濫する。

 こういったところからとの交信は、全世界が過熱する。それは交信しようとする者が相手方を呼ぶときに引き起こす混信である。極端にいえば、「1:何万」の関係で、1局に集中するからである。相手はこのなかの一つの局を聞き分けて交信を交わす必要がある。あまりにも統制が取れない場合は、呼ぶ側の国指定、エリア指定などが行われることがある。こういった場合、1局との交信に費やす時間はわずか数秒で、のんびりした交信はご法度である。当然に相手方の運用するオペレーターの運用技術やセンスが要求される。また、呼ぶ側のマナーや運用センスも要求される。相手のくせや運用パターンをいち早くつかむこともいかに早く交信できるかカギになる。

 また、CW(電信)による交信も行われる。トン・ツーのモールス信号である。トン・ツーの組み合わせでA〜Z、あるいは数字などが決められている。これを高速度で打ちひとつの単語や言葉にしている。高速で小気味のよい上手な人のモールス信号は、ひとつの音楽にも聞こえ気持ちよい。

 海外との交信には気力と体力が必要だ。昼の時間帯と夜の時間帯で交信できるエリアが変化する。1日中聞いていると刻々聞こえてくるエリアが変わるのがよくわかる。それにあわせて、こちらの運用スタイルを合わせるのだが、朝の3時起きはずいぶんやったのを覚えている。特に朝方はアフリカ方面の貴重なカントリーが多い。ダイヤルを回しながら耳を傾けて聞いている時間が大半である。いざ、呼ぶとなるとドキドキしてくる。しかし、呼べど叫べどなかなか自分に回ってこない。イライラが最高潮に達するときである。結果的には相手もこの混信にあきれかえっていなくなったり、時間の都合で引っ込んでしまうことが多くあった。貴重なカントリーが出たときは仕事も休んだことがある。

 めでたく交信が成功したら、交信証(QSLカード)の交換である。このQSLカードには交信相手や日時、場所などが記載され、交信の証明書であり、通常ハガキ大の大きさである。この交換には直接郵送による方法と各国の無線団体(※1)が仲介してくれる方法があるが、レア・カントリーの局などは、郵便事情のよい国のQSLマネージャーがついている場合があり、カードの発行を一手に引き受けている方もいる。 (※1 日本では社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)がQSLカードの配送業務を行っている)

 直接郵送方式では、通常相手方の返信料分を負担して送る。そのため国によっては、直接郵送で送っても相手方に届かないなどの事故もままある。送ってから何年もしてから届くなどのケースもある。
 返信された封筒に貼られている切手も興味ある。特に発展途上国の切手は、はでで大きいものがあり、切手コレクターとしても面白い。

 それからもう一つの楽しみとして、コンテストがある。これは、全世界を対象として同時間内にどれだけ交信したか、いくつのカントリーと交信したかなど、コンテストの種類ごとに細かな採点規定を設け、交信の記録や計算結果などを提出するものである。自己申告だからといってウソは申告できないし、信義則の問題である。メジャーなものからマイナーなものまで、たくさんのコンテストがある。マイナーなものだと入賞のチャンスは高い。
 大きなコンテストだと、まる2日が多い。これを一人で行うには気力と体力そして運用技術、設備の良し悪しで決まる。一番は気力・体力かもしれない。過熱しているときは食事も後回しになる。2日間のコンテストだと日本では月曜日の朝9時までであるため、その日は仕事を休まないとつらい。



主なアワード受賞

  • DXCC MIX部門    Honor Roll #1
  • DXCC PHONE部門  Honor Roll #1
  • DXCC CW部門    Honor Roll #1
  • DXCC 5BDXCC   (Nov.21'88)
  • MBEDX 2000      (Mar.'93 by FEDXP)

主なコンテスト入賞

  • '79World Wide WPX Contest   28Mhz Single Operator部門  日本第2位
  • '89World Wide DX Contest   14Mhz SSB Single Ope. Single Band部門 日本第2位(関東地区第1位)
  • '89World Wide DX Contest   28Mhz CW Single Ope. Single Band部門 日本第2位
  • '92ARRL International DX Contest 28Mhz SSB Single Ope. Single Band部門 1282QSOs
  • '94Japan International DX Contest  28Mhz CW Single Op. 関東地区第1位

海外運用

  • 1991年10月9日〜16日 カンボジア・プノンペンにてPTT(当時の日本の郵政省に類する政府機関)の招待を受け日本から3名(JA1NUT,JH0FBH,JH1OJU)が参加し、無線局の運用許可を得た。コールサインはXU0JA。80カントリー、約7300局とQSO。
XU0JAを運用中 (PTT施設内・プノンペン)

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