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Tak@se Web Echo

~ 山歩きの記録と山岳写真集 ~


中倉山・沢入山

(足尾)


なかくらやま(1530m)・そうりやま(1704m)

2022(R4)年11月10日(木)
晴れ
栃木県日光市

■行 程:銅親水公園駐車場 - ≪工事用道路≫ - 登山口 - ≪中倉尾根≫ - 中倉山 - 「孤高のブナ」 - 波平ピーク - 沢入山 (ピストン)

中倉山・沢入山ルートマップ(広域)

中倉山・沢入山ルートマップ(拡大)

サムネイル画像解説: ※サムネイル画像に赤枠のあるものはポップアップ拡大できます。解除は×または写真枠外をクリック。

足尾銅山は鉱脈の発見以来、1973年(昭和48年)約360年の歴史に幕を閉じ閉山しました。日本最大の産銅量を誇り近代日本産業発展に大きな貢献を残しました。しかし、功績の陰には「日本の公害の原点」と呼ばれる深刻な社会問題があったことを負の遺産として忘れてはならないと思います。

その一つ「鉱毒」は、精錬時の有毒な物質等により土壌汚染や農作物、魚類など深刻な問題になりました。また、渡良瀬川下流域に大洪水をもたらしました。大洪水の原因は、銅産出のため坑内などに使う木材は無秩序な伐採などにより松木渓谷一帯の裸地化に起因する。
もう一つの「煙害」は、銅精錬所の煙突から排出される煙に含まれる亜硫酸ガスは比重が空気より重いため、上流部の松木渓谷など谷あいに降り注ぎました。ガスは木々や植物などあらゆるものを枯らし、さらに山火事の発生は大火に及んだ。
精錬所は国の鉱毒予防工事命令を受け、煙害対策を打ったものの効果は芳しくなく、大火後も益々ひどくなり、”はげ山”と化した山に新しい草木は育たず、次第に土壌は流され裸地化していった。日本のグランドキャニオンと呼ばれるゆえんである。

現在、荒廃した足尾地域を回復するため、国などの公共事業(治山事業)、NPO法人足尾に緑を育てる会は緑化活動を続けており、一部の急峻な山肌が紅葉している所もあり、事業活動の成果がみられるが、回復には一朝一夕というわけにはいかないだろう。
(以上、足尾環境学習センターでの説明及び関連記事より記載)

日本のグランドキャニオン中倉山の一般的なトレッキングコースとして確立してきたのは、さほど古くないと思われる。
最も、庚申山、皇海山などから、ルートとしてあったようではあるが、一般向けではない。

登山起点となるのは、渡良瀬川、久蔵川、仁田元川の3つが合流する足尾砂防堰堤(通称:足尾ダム)。
ここには、銅親水公園(あかがねしんすいこうえん)があり、駐車場は30台程度。
時間があれば足尾環境学習センターで、足尾銅山の歴史や環境問題などの説明を受け、展示物を見るのも良いだろう。


とりあえず、本日は中倉山へのトレッキング。他の方の登山記録を見るとかなりの急登が続くとある。沢入山へは上に行ってから体調と相談して決めよう。
時間は6時17分。モルゲンロートに染まる中倉山山頂付近にタイミングよく月が沈む。

ちなみに2日前には皆既月食+442年ぶりの惑星食(天王星)が話題になったばかりで、次の皆既月食と惑星食が同時に見られるのは322年後だとか!!
おまけ画像!![2022年11月8日午後8時40分皆既月食+惑星食 (自宅近くにて)]
日本のグランドキャニオン駐車場からほど近くにゲートがあり一般車両は通行止めとなっている。工事関係者のみ通行できるようだ。
歩行者は特に規制がないようだが、大型ダンプが頻繁に動いており注意する必要がある。
日本のグランドキャニオンこちらは久蔵川にかかる橋で橋桁は鉄板製だ。
霜がついていたので慎重に渡る。
   
日本のグランドキャニオン「足尾の山に100万本の木を植えよう!」・・・(NPO法人 足尾に緑を育てる会)

広大な斜面に苗木植栽のため整備中。

  
日本のグランドキャニオンこの先分岐を左手(仁田元方面)に進む。
真っ直ぐ行くと松木渓谷だ。
日本のグランドキャニオン二つ目の橋を渡る。
この川は渡良瀬川で、その源は皇海山だが、地図では源流部の川の名は松木川となっている。学習センターの説明では松木川は距離が短く、上流部で渡良瀬川になっており、地図と現状は相違しているとのこと。

  
日本のグランドキャニオン県内外の小中学校生が植樹した苗木。
  
日本のグランドキャニオン仁田元川水管橋(にたもとがわ すいかんきょう)が道路の上に通っている。
精錬所などの工業用水に使ったそうだが、現在も流れているようだ。
日本のグランドキャニオンコンクリート道を進む。奥に行くと砂利道も見られる。ダンプや重機が頻繁に通るせいか砂利道はしっかり固まっている。
右手側は急峻な山肌で、道端はカエデ類の紅葉がきれいだ。
左手には仁田元川が流れ、堰堤工事などが盛んに行われているようだ。
日本のグランドキャニオン歩き始めて約50分、作業道(林道)はこんな感じで、標高も130mぐらい上ってきた。
日本のグランドキャニオン登山口に到着。
地味な登山口でうっかり通り過ぎてしまいそうだ...。
スタート地点の足尾ダムからゆっくりと歩いて約1時間、距離は地図で測って約3.2km、標高は約900m。
登山道を見ると、うわさ通りの急坂だ。

日本のグランドキャニオン登山口に、なんとトイレが設置されていた。「トイレのご利用について」が貼ってあり建設会社が設置したもので、読んでみると利用のルールを記載したもので、常識的な事柄が箇条書きに書いてあるが、最初の項目に「このトイレはご自由にお使いください」とあり、本来は工事関係者のためのトイレだろうが、この地は登山者が入山していることを意識しての書き方になっていると思われる。工事が終われば当然撤収することになると思われるが、何ともありがたい。感謝!
日本のグランドキャニオン
日本のグランドキャニオン標高920m付近。登山口からすぐ。
日本のグランドキャニオン標高1020m付近。
日本のグランドキャニオン
標高1110m付近

日本のグランドキャニオンこの輪をくぐり抜けて行かないといけませんよ・・・と言ってるみたい。
かなりの古木のフジで、人の手が加わったものではないような。
日本のグランドキャニオン登山道があるこの山肌、ほとんど葉を落としているが、数少ないなかでもこれは満開?だ。
日本のグランドキャニオン

これは何の実だろう。
かなり高くそびえており、いくつも見られた。

日本のグランドキャニオンやっと稜線に出た。標高は1280mで急登は一段落で、ここから大きく右折する。
これから行く中倉尾根が木々越しに見える。

日本のグランドキャニオン中倉尾根に出るには、もう一回の頑張りが必要のようだ。
この付近に分岐がいくつかあるが、方面など行先を示す導標はないため不安になるが、道もしっかりしており間違ってもそんなにリスクはないだろう。

右方向の中倉尾根の先端部に向けて歩く。

日本のグランドキャニオン尾根先端部は岩混じりのガレ場となっている。
スタート地点の銅親水公園なども眼下に望め、さらに男体山をはじめ日光連山の山並みが望め絶景だ。

日本のグランドキャニオン中倉尾根と対峙する日光の山並み。
日本のグランドキャニオン中倉山(1530m)に到着。
日本のグランドキャニオン松木渓谷をから伸びる両側の山肌はいまだに荒廃が著しく唖然となる。
日本のグランドキャニオン富士山も見える。
今日は帰路につくまで富士山が見えていた。
日本のグランドキャニオン「孤高のブナ」
中倉山の頂から稜線を西に歩くと草原のような鞍部に気高くそびえている。


日本のグランドキャニオン







「思っていたほど大きな木じゃない」が第1印象。
しかし、幹の太さは目測で直径50センチぐらい、高さは10数m。
こんな立派な木はこの稜線上には見当たらず、この1本だけなのだ。

日本のグランドキャニオンそれは稜線を境に左右の山肌を見れば一目瞭然だ。北面の山肌は茶褐色に荒廃し草木もまばらで大きなものは見当たらない。もう片方(南面)の山肌は大小の木々が茂るどこにでもある山。稜線を境にこれほどまでに植生が違うのを見たのは初めて。
亜硫酸ガスを多量に含んだ煙は、松木渓谷側に多量に降り注いだ。まさに稜線上は生きるか死ぬかの境目で壮絶な闘いだったと思われる。それを耐え抜いたブナなのだ。

煙害がなかったとすれば、ブナをはじめとする落葉広葉樹が茂り、松やシラビソなどの針葉樹が広がり、春夏秋には山菜採り、キノコ採りもできるようなどこにでもある山だったと想像できる。
日本のグランドキャニオン孤高のブナをあとに、沢入山(そうりやま)に向かう。

先ほどの「孤高のブナ」方面を振り返ると、前述の稜線を境目に右、左の山肌が全く違うことが理解できる。
日本のグランドキャニオン起伏が激しくなり、岩山が目立ってくる。ガレ場を歩くが巻き道もある。ただ、どちらのコースも道が狭く傾斜もあるので注意が必要。

日本のグランドキャニオンこの辺の歩きが頑張りどころ。
ピークが見えるのが沢入山かと思ったが、「波平ピーク」と呼ばれるところだった。
日本のグランドキャニオン岩が風化しているのだろうか、荒々しい姿で痛々しい。
日本のグランドキャニオン波平ピークに到着。
標高の表示は地図にも記載はないが、1640mぐらいか。

波平ピークの名前の由来は定かではないが、山頂を示す1本の枯れ木が、サザエさんの父である波平さんの貴重な頭の毛1本が似ていることからきているらしい・・・
1本の枯れ木は、差し替えられたようで、以前のものより太くなっている。
当時のほうが「波平さん」に似ていたようだ。
日本のグランドキャニオン「孤高のブナ」からほぼ1時間で沢入山に到着。
日本のグランドキャニオン 白根山が近くなった。
日本のグランドキャニオン左から庚申山(1892m)、オロ山(1822m)、皇海山(2144m)。
ここから庚申山方面に道が続いており、一部ヤブ漕ぎも強いられるそうだ。
日本のグランドキャニオン
ちょうど庚申山から歩いてきた方がおり、ヤブの状況を聞いたら、「これまでの紙の地図では十分に地形を判断できず、現在位置が不明確だったが、今はGPSを時々確認すればよい」と話されていた。

日本のグランドキャニオン松木渓谷。支流から数段の滝が見える。
日本のグランドキャニオン松木渓谷は土の流出のため草木が根付くのは相当な時間が必要だろう。
日本のグランドキャニオン中倉山には寄らずに右手方向の巻き道を行く。
日本のグランドキャニオン雑木林をなだらかに下降していく。
日本のグランドキャニオン林の中にある見晴らしの良い岩峰に立ち寄る。まだ富士山が見えている。
日本のグランドキャニオン帰りの下り坂は1回だけ立ったまま1~2分ほど休んだだけで、ほとんどノンストップで駆け下りた。
孤高のブナから登山口までちょうど1時間だった。膝がおかしくなりそう。
日本のグランドキャニオン 日本のグランドキャニオン 日本のグランドキャニオン 日本のグランドキャニオン
  
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