足尾銅山は鉱脈の発見以来、1973年(昭和48年)約360年の歴史に幕を閉じ閉山しました。日本最大の産銅量を誇り近代日本産業発展に大きな貢献を残しました。しかし、功績の陰には「日本の公害の原点」と呼ばれる深刻な社会問題があったことを負の遺産として忘れてはならないと思います。
その一つ「鉱毒」は、精錬時の有毒な物質等により土壌汚染や農作物、魚類など深刻な問題になりました。また、渡良瀬川下流域に大洪水をもたらしました。大洪水の原因は、銅産出のため坑内などに使う木材は無秩序な伐採などにより松木渓谷一帯の裸地化に起因する。
もう一つの「煙害」は、銅精錬所の煙突から排出される煙に含まれる亜硫酸ガスは比重が空気より重いため、上流部の松木渓谷など谷あいに降り注ぎました。ガスは木々や植物などあらゆるものを枯らし、さらに山火事の発生は大火に及んだ。
精錬所は国の鉱毒予防工事命令を受け、煙害対策を打ったものの効果は芳しくなく、大火後も益々ひどくなり、”はげ山”と化した山に新しい草木は育たず、次第に土壌は流され裸地化していった。日本のグランドキャニオンと呼ばれるゆえんである。
現在、荒廃した足尾地域を回復するため、国などの公共事業(治山事業)、NPO法人足尾に緑を育てる会は緑化活動を続けており、一部の急峻な山肌が紅葉している所もあり、事業活動の成果がみられるが、回復には一朝一夕というわけにはいかないだろう。
(以上、足尾環境学習センターでの説明及び関連記事より記載)
中倉山の一般的なトレッキングコースとして確立してきたのは、さほど古くないと思われる。
最も、庚申山、皇海山などから、ルートとしてあったようではあるが、一般向けではない。
登山起点となるのは、渡良瀬川、久蔵川、仁田元川の3つが合流する足尾砂防堰堤(通称:足尾ダム)。
ここには、銅親水公園(あかがねしんすいこうえん)があり、駐車場は30台程度。
時間があれば足尾環境学習センターで、足尾銅山の歴史や環境問題などの説明を受け、展示物を見るのも良いだろう。
とりあえず、本日は中倉山へのトレッキング。他の方の登山記録を見るとかなりの急登が続くとある。沢入山へは上に行ってから体調と相談して決めよう。
時間は6時17分。モルゲンロートに染まる中倉山山頂付近にタイミングよく月が沈む。
ちなみに2日前には皆既月食+442年ぶりの惑星食(天王星)が話題になったばかりで、次の皆既月食と惑星食が同時に見られるのは322年後だとか!!
おまけ画像!![2022年11月8日午後8時40分皆既月食+惑星食 (自宅近くにて)]
その一つ「鉱毒」は、精錬時の有毒な物質等により土壌汚染や農作物、魚類など深刻な問題になりました。また、渡良瀬川下流域に大洪水をもたらしました。大洪水の原因は、銅産出のため坑内などに使う木材は無秩序な伐採などにより松木渓谷一帯の裸地化に起因する。
もう一つの「煙害」は、銅精錬所の煙突から排出される煙に含まれる亜硫酸ガスは比重が空気より重いため、上流部の松木渓谷など谷あいに降り注ぎました。ガスは木々や植物などあらゆるものを枯らし、さらに山火事の発生は大火に及んだ。
精錬所は国の鉱毒予防工事命令を受け、煙害対策を打ったものの効果は芳しくなく、大火後も益々ひどくなり、”はげ山”と化した山に新しい草木は育たず、次第に土壌は流され裸地化していった。日本のグランドキャニオンと呼ばれるゆえんである。
現在、荒廃した足尾地域を回復するため、国などの公共事業(治山事業)、NPO法人足尾に緑を育てる会は緑化活動を続けており、一部の急峻な山肌が紅葉している所もあり、事業活動の成果がみられるが、回復には一朝一夕というわけにはいかないだろう。
(以上、足尾環境学習センターでの説明及び関連記事より記載)
中倉山の一般的なトレッキングコースとして確立してきたのは、さほど古くないと思われる。
最も、庚申山、皇海山などから、ルートとしてあったようではあるが、一般向けではない。
登山起点となるのは、渡良瀬川、久蔵川、仁田元川の3つが合流する足尾砂防堰堤(通称:足尾ダム)。
ここには、銅親水公園(あかがねしんすいこうえん)があり、駐車場は30台程度。
時間があれば足尾環境学習センターで、足尾銅山の歴史や環境問題などの説明を受け、展示物を見るのも良いだろう。
とりあえず、本日は中倉山へのトレッキング。他の方の登山記録を見るとかなりの急登が続くとある。沢入山へは上に行ってから体調と相談して決めよう。
時間は6時17分。モルゲンロートに染まる中倉山山頂付近にタイミングよく月が沈む。
ちなみに2日前には皆既月食+442年ぶりの惑星食(天王星)が話題になったばかりで、次の皆既月食と惑星食が同時に見られるのは322年後だとか!!
おまけ画像!![2022年11月8日午後8時40分皆既月食+惑星食 (自宅近くにて)]
登山口に到着。
地味な登山口でうっかり通り過ぎてしまいそうだ...。
スタート地点の足尾ダムからゆっくりと歩いて約1時間、距離は地図で測って約3.2km、標高は約900m。
登山道を見ると、うわさ通りの急坂だ。
登山口に、なんとトイレが設置されていた。「トイレのご利用について」が貼ってあり建設会社が設置したもので、読んでみると利用のルールを記載したもので、常識的な事柄が箇条書きに書いてあるが、最初の項目に「このトイレはご自由にお使いください」とあり、本来は工事関係者のためのトイレだろうが、この地は登山者が入山していることを意識しての書き方になっていると思われる。工事が終われば当然撤収することになると思われるが、何ともありがたい。感謝!
地味な登山口でうっかり通り過ぎてしまいそうだ...。
スタート地点の足尾ダムからゆっくりと歩いて約1時間、距離は地図で測って約3.2km、標高は約900m。
登山道を見ると、うわさ通りの急坂だ。
登山口に、なんとトイレが設置されていた。「トイレのご利用について」が貼ってあり建設会社が設置したもので、読んでみると利用のルールを記載したもので、常識的な事柄が箇条書きに書いてあるが、最初の項目に「このトイレはご自由にお使いください」とあり、本来は工事関係者のためのトイレだろうが、この地は登山者が入山していることを意識しての書き方になっていると思われる。工事が終われば当然撤収することになると思われるが、何ともありがたい。感謝!
「孤高のブナ」
中倉山の頂から稜線を西に歩くと草原のような鞍部に気高くそびえている。
「思っていたほど大きな木じゃない」が第1印象。
しかし、幹の太さは目測で直径50センチぐらい、高さは10数m。
こんな立派な木はこの稜線上には見当たらず、この1本だけなのだ。
それは稜線を境に左右の山肌を見れば一目瞭然だ。北面の山肌は茶褐色に荒廃し草木もまばらで大きなものは見当たらない。もう片方(南面)の山肌は大小の木々が茂るどこにでもある山。稜線を境にこれほどまでに植生が違うのを見たのは初めて。
亜硫酸ガスを多量に含んだ煙は、松木渓谷側に多量に降り注いだ。まさに稜線上は生きるか死ぬかの境目で壮絶な闘いだったと思われる。それを耐え抜いたブナなのだ。
煙害がなかったとすれば、ブナをはじめとする落葉広葉樹が茂り、松やシラビソなどの針葉樹が広がり、春夏秋には山菜採り、キノコ採りもできるようなどこにでもある山だったと想像できる。
中倉山の頂から稜線を西に歩くと草原のような鞍部に気高くそびえている。
「思っていたほど大きな木じゃない」が第1印象。
しかし、幹の太さは目測で直径50センチぐらい、高さは10数m。
こんな立派な木はこの稜線上には見当たらず、この1本だけなのだ。
それは稜線を境に左右の山肌を見れば一目瞭然だ。北面の山肌は茶褐色に荒廃し草木もまばらで大きなものは見当たらない。もう片方(南面)の山肌は大小の木々が茂るどこにでもある山。稜線を境にこれほどまでに植生が違うのを見たのは初めて。
亜硫酸ガスを多量に含んだ煙は、松木渓谷側に多量に降り注いだ。まさに稜線上は生きるか死ぬかの境目で壮絶な闘いだったと思われる。それを耐え抜いたブナなのだ。
煙害がなかったとすれば、ブナをはじめとする落葉広葉樹が茂り、松やシラビソなどの針葉樹が広がり、春夏秋には山菜採り、キノコ採りもできるようなどこにでもある山だったと想像できる。