「志津倉の鐘」
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この峠を下ったところに登山口があり、路肩に10台程度の広さの駐車場があるが、すでに5台ほど駐車していた。いずれも山菜採りや渓流釣りの方で、ちょうど山菜をザックいっぱいに背負った2人の方が下りてきた。聞くと今は「こごみ」が旬らしい。
出発直前に1台の車が通り過ぎたが引き返して声をかけてくれた。「山開きはまだなので気をつけるよう」とのことだった。
登山口には立派な案内板とともに、英文の遭難碑と山行の無事を祈る「志津倉の鐘」があり、2〜3度鳴らす。それほどまでに危険な山かと不安も抱く。 |
雨乞岩
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大沢沿いの左岸を進め小さな川を渡るとまもなく小さな湿原になり、ミズバショウがいくらか見られる。
ここで、細ヒドコースとの分岐があり、ガイドブック通り大沢コースに向かう。辺りは白いイチリンソウが目立つ。
40分ほど歩くと二子岩コースと大沢コースの分岐に差し掛かる。この2つのコースは後に合流することになるが、後々の体力を温存したい場合は、大沢コースを利用したほうが良いと思われる。ここから眼前に雨乞岩の巨大なスラブに圧倒される。 |
イワウチワ
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二子岩コースに入ることにするが、後で後悔することになるがこのコースは今の時期には不向きである。大沢を渡捗するといきなり急登が始まる。
イワウチワの群落が斜面にいっぱいだ。イワウチワは普通ピンク系だが、真っ白いのを見ることができた。
さらにブヨの大群には山行最後まで悩まされる。押し寄せるブヨの大群に血を吸われたら一大事だ。汗臭い体の周りがいいらしくムンムンとしてうっとうしい限りだが、刺すのはわずかのようである。ここでタバコを吸うと少なくなることを新発見?した。タバコはどこの世界でも嫌われ者か。それでも結果的に手足に5箇所ほど刺され、大きく腫れ上がり水ぶくれとともに痒さの後遺症がしばらく続いた。
次第に雨乞岩が近くに迫ってくる。まだ大分雪渓が残っており、崩壊のあとも見られる。そこに糸のような一筋の滝が上部から流れ落ちている。 |
猫啼岩
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まもなく急登も終わり、「山頂まであと2.5km」とある標識からは、山腹をトラバースしながら大沢コースとの合流点に向かう。反対面の中腹には「猫啼岩」が望めるが、どう見ても猫には見えない。
この先かなり大きな雪渓が立ちはだかっており、さらに先のペイントマークが見当たらない。このシーズン誰もこのコースに入った様子がなく、踏み跡もない。雪渓の傾斜もきつく雪崩の心配もあり、仕方なく雪のない急傾斜のヤブをこぎながら下方へ回り道をする。
やっとマーキングを見つける。大きな岩沿いに取り付くようにコース取りがされている。ここから大沢コースを一人で歩く女性を見ることができた。後でこの方がたどったコースが大変参考になった。
何回か雪渓のトラバースをしながら進むと大沢沿いに出て、沢を渡ると大沢コースと合流した。かなり時間も体力も費やしてしまった。通常でもこちらのコースは時間がかかると思われる。
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オオカメノキの若葉
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ここから小さな沢を渡り、恐怖の「シャクナゲ坂」に取り付く。本当に急峻だ。遠くから見ると40度ぐらいの傾斜か。松の根につかまりながら両腕も交えて全身を駆使する。まさに地面に這いつくばる感じだ。
細い尾根上になっており、右側は断崖絶壁、左側は木々が生えておりそれほどの恐怖感はないがこれも急斜面で落ちたら止まらない感じだ。
クサリ場を越えると眼前には今までの雨乞岩から屏風岩と変わってくる。
「屏風岩」の標識に着く。足元がスパッと切れ落ちている。恐る恐る腹ばいになり覗く。
やがて、三本松の標識があるがどれが三本松かは確認できなかった。ヤセ尾根が終わる頃に三本松と呼ばれるのにちょうど良い松があったが…。 |