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- Part 2 -
平成15年5月3日(土) 志津倉山(しづくらさん1234m)(福島県昭和村)
快晴 登山口−細ヒド・大沢コース分岐−二子岩・大沢コース分岐−合流地点−シャクナゲ坂−三本松−ブナ平−志津倉山頂(1234m)−細ヒドコース−登山口
今年2回目の山行であるが、どういうわけかどちらも高さは低いが岩場の峻険なコースを選んでしまった。
ガイドブックやWebなどで情報を得るが、どれも簡単なコースの印象はない。
国道400号の昭和村から不動沢林道に入り、大辺峠を経て登山口に到着する。
不動沢林道はあまり広くはないが、全舗装で新緑のなか快適に進めることができた。
大辺峠から先は路肩にまだ除雪のあとがあり、所々溶けだした水が路上に流れている。


 

「志津倉の鐘」
この峠を下ったところに登山口があり、路肩に10台程度の広さの駐車場があるが、すでに5台ほど駐車していた。いずれも山菜採りや渓流釣りの方で、ちょうど山菜をザックいっぱいに背負った2人の方が下りてきた。聞くと今は「こごみ」が旬らしい。

出発直前に1台の車が通り過ぎたが引き返して声をかけてくれた。「山開きはまだなので気をつけるよう」とのことだった。

登山口には立派な案内板とともに、英文の遭難碑と山行の無事を祈る「志津倉の鐘」があり、2〜3度鳴らす。それほどまでに危険な山かと不安も抱く。

雨乞岩
大沢沿いの左岸を進め小さな川を渡るとまもなく小さな湿原になり、ミズバショウがいくらか見られる。

ここで、細ヒドコースとの分岐があり、ガイドブック通り大沢コースに向かう。辺りは白いイチリンソウが目立つ。

40分ほど歩くと二子岩コースと大沢コースの分岐に差し掛かる。この2つのコースは後に合流することになるが、後々の体力を温存したい場合は、大沢コースを利用したほうが良いと思われる。ここから眼前に雨乞岩の巨大なスラブに圧倒される。
イワウチワ
二子岩コースに入ることにするが、後で後悔することになるがこのコースは今の時期には不向きである。大沢を渡捗するといきなり急登が始まる。

イワウチワの群落が斜面にいっぱいだ。イワウチワは普通ピンク系だが、真っ白いのを見ることができた。

さらにブヨの大群には山行最後まで悩まされる。押し寄せるブヨの大群に血を吸われたら一大事だ。汗臭い体の周りがいいらしくムンムンとしてうっとうしい限りだが、刺すのはわずかのようである。ここでタバコを吸うと少なくなることを新発見?した。タバコはどこの世界でも嫌われ者か。それでも結果的に手足に5箇所ほど刺され、大きく腫れ上がり水ぶくれとともに痒さの後遺症がしばらく続いた。

次第に雨乞岩が近くに迫ってくる。まだ大分雪渓が残っており、崩壊のあとも見られる。そこに糸のような一筋の滝が上部から流れ落ちている。
猫啼岩
まもなく急登も終わり、「山頂まであと2.5km」とある標識からは、山腹をトラバースしながら大沢コースとの合流点に向かう。反対面の中腹には「猫啼岩」が望めるが、どう見ても猫には見えない。

この先かなり大きな雪渓が立ちはだかっており、さらに先のペイントマークが見当たらない。このシーズン誰もこのコースに入った様子がなく、踏み跡もない。雪渓の傾斜もきつく雪崩の心配もあり、仕方なく雪のない急傾斜のヤブをこぎながら下方へ回り道をする。

やっとマーキングを見つける。大きな岩沿いに取り付くようにコース取りがされている。ここから大沢コースを一人で歩く女性を見ることができた。後でこの方がたどったコースが大変参考になった。

何回か雪渓のトラバースをしながら進むと大沢沿いに出て、沢を渡ると大沢コースと合流した。かなり時間も体力も費やしてしまった。通常でもこちらのコースは時間がかかると思われる。
オオカメノキの若葉
ここから小さな沢を渡り、恐怖の「シャクナゲ坂」に取り付く。本当に急峻だ。遠くから見ると40度ぐらいの傾斜か。松の根につかまりながら両腕も交えて全身を駆使する。まさに地面に這いつくばる感じだ。

細い尾根上になっており、右側は断崖絶壁、左側は木々が生えておりそれほどの恐怖感はないがこれも急斜面で落ちたら止まらない感じだ。

クサリ場を越えると眼前には今までの雨乞岩から屏風岩と変わってくる。

「屏風岩」の標識に着く。足元がスパッと切れ落ちている。恐る恐る腹ばいになり覗く。

やがて、三本松の標識があるがどれが三本松かは確認できなかった。ヤセ尾根が終わる頃に三本松と呼ばれるのにちょうど良い松があったが…。

ブナ平付近の残雪
やっと危険地帯も終わり一安心したが、またもや雪渓に悩まされる。辺りはブナの原生林と変わって、山頂に続く稜線はすぐそこに見えるが、雪渓が邪魔をして道が途切れている。先行した女性の踏み後をたどる。しかし、それもわからない部分もあり、必死でブナに描かれたペイントマークを探す。稜線は見えているので「山感」で進む。

結果的に稜線へは志津倉本峰(1203m)方向に少し入ったところに出た。ここからヤブを少しこぐとやっと「ブナ平」分岐点に出た。ひとまず安心する。

稜線を山頂に向けさらに進めるが、やはり雪渓が多くペイントマークと先行した方の踏み後を確認しながら進む。しかし、先行の女性は、この山に慣れているとみえて忠実にマーキングに向かっている。大変参考になりました。

山頂から北西を望む
山頂まで休憩や写真などの時間も含め、約4時間かかってしまった。

山頂は北と南が大きく開いており、あまりにも天気が良いせいか、やや靄がかかってはいるが絶景である。北方向に飯豊連峰、南に那須連峰、日光連山などを見ることができた。山頂は、今までの厳しい岩場とはかけ離れた樹林地帯でゆっくり安心して休める。
昼食後、下山は細ヒドコースを辿る。ブナ林をゆるやかに下って行くが、やはり雪渓がたちはだかる。やっと細ヒドコースの指導標に差し掛かる。ここから大辺峠への道があるようだが確認できなかった。

ここを直角に右に折れると、コース右側の沢にかけて稜線から雪が吹き溜まりとなってデブリを形成しており、この上を歩くのに踏み抜かないか恐る恐る通過する。少し進むと尾根左側の急下降に変わる。
手当たり次第に周りの木々や枝を補助にして下る。この付近は「こぶし」の白い花が目立つ。
コース全体に言えることだが、冬場から春にかけての雪や強風で倒れた木々が登山道を阻んでいる。かなりの大木も倒れている。さらに秋の落葉もそのまま残っており、登山道をよりわかりにくくしているし、滑りやすい。シーズン前ということもあり、あとできれいに整備されるものと思われる。それから登山道には境界杭に使われるような赤い杭が打ってあるので、ある程度参考になる。

  
いろんなタイプと色のイチリンソウが見られる。
ブナの目覚め
落ち葉に滑ってしりもちをつく。本当にかなりの角度での急下降である。前につまずかないように気をつける。

まもなく沢に下りることになるが、10mほどの急斜面の雪渓が立ちはだかる。かかとで階段をつくりながらまっすぐ下に進める。滑り出したら止めることは不可能で沢に落ちることになる。

次の岩場にはハシゴ(コの字型で黄色いプラスチックでカバーされているが、中身は鉄製と思われる)が岩に打ち込んであり、さらにクサリが添えられておりそれほどの恐怖感はない。

キクザキイチゲ
やがて道もゆるやかになり、深いブナ林に入ってくる。青空を背景にして見るブナの緑がさわやかだ。ゆるやかに尾根を下ると沢を渡り、往路側の尾根に入るとまもなく往路との分岐に合流する。

朝はつぼみでそれほどでもなかったが、紫色のイチリンソウが目立って多くなる。すぐそこに駐車場も見え安堵感とともに最後の花を楽しむ。
山頂から登山口までは、約2時間であった。
帰りの大辺峠から見た細ヒドコースは、本当に急下降でまさに90度の感があり、よくも下りてきたものだと実感する。

山行後の恒例となっている温泉入浴は、昭和村の昭和温泉しらかば荘で入浴する。泉質はナトリウム・塩化物泉で、色は黄緑色で温泉物質が混ざっておりやや熱めの湯である。

本日の登山は私を含め2名と思われるが、雪渓の踏み跡などから推察するとこれ以前の登山者がいたようには思われず、今の時期の登山はあまり勧められない。ちなみに、案内板には山開きは毎年6月第一日曜日となっている。一番の時期は秋の紅葉と思われる。

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