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Tak@se Web Echo

~ 山歩きの記録と山岳写真集 ~


前袈裟丸山

まえけさまるやま(1878m)
2004(H16)年5月3日(月) 晴れ
群馬県東村(みどり市)/栃木県足尾町(日光市)

■行 程:塔の沢登山口ゲート - 登山口 - 寝釈迦/相輪塔 - 避難小屋 - 賽の河原 - 雨量観測所 - 避難小屋 - 前袈裟丸山 - 避難小屋 - 小丸山 - 雨量観測所 - 賽の河原 - 寝釈迦 - 登山口

■前袈裟丸山ルートマップ:【ルート確認用】 【拡大表示・印刷用】

サムネイル画像解説: ※サムネイル画像に赤枠のあるものはポップアップ拡大できます。解除は×または写真枠外をクリック。

前袈裟丸山ヤシオツツジのトンネルを・・・との期待を込めて袈裟丸山に登ることにする。日光経由で草木ダム手前の「沢入(そおり)」から林道に入る。

林道をしばらく進むと分岐があり、直進すると折場口からの「弓の手コース」だが、今日のコースである「塔の沢コース」は右手に折れる。

塔の沢口は、ガイドブックなどでは駐車スペースは5~8台とあるが、大きく3つのスペースがあり、都合数十台は停めることができそう。塔の沢コースは、距離は長く登り甲斐があるが山岳信仰と歴史を探勝できるコースで、こちらを選んだ。
前袈裟丸山午前7時ちょうどにスタート、300mほどはコンクリート舗装の林道を真っ直ぐに進むと、林道終点になり、ここには登山届のポストも用意されている。ここからが本格的な登山道となり、木橋を渡り沢の左岸を進む。
前袈裟丸山まだ木々の葉は芽吹いて間もないか、まだこれからといった様子で深い森ではあるが明るい。いきなり巨岩が沢や斜面にごろごろ目立つ。

登り一方であるが、だらだらと登っており急登ではない。道も整備されており、石もひしめいているが固く締まっており歩きにくい感はしない。
前袈裟丸山何回か木橋を渡り沢を左右に変えながら進むと、やがて沢が分岐している広い巨岩の河原に出る。ここを左に直角に曲がり沢の左岸斜面を進め、やや急登を登りつめると左手に大きくそびえる岩に出る。
前袈裟丸山ここが「寝釈迦」である。釈迦像はこの大きな岩の上の自然の岩に彫られており、縦4mほどで腕をまくらにして横たわっている。
前袈裟丸山一方、「相輪塔」は沢の対岸にそびえており、こちらは自然にできた岩塔である。
前袈裟丸山相変わらず沢沿いの斜面を登っていく。徐々に勾配はきつくなる。

やがて、笹の茂るカラマツ林に入って来るとガスが出始めた。今日の天気は悪くても曇りかなと思っていたが、ガスは予想していなかった。
前袈裟丸山まもなく避難小屋に到着である。ここまで1時間50分で来た。

今日はゆっくり歩き休憩をあまりとらずに歩こうと目標を決めていたので、ここで2回目の休憩をとる。

結果的に到着時間は早めになった。
避難小屋は小さく古いものと比較的新しいものの2棟が建っている。中にはふとんや毛布が1セット用意されていた。

前袈裟丸山小屋から約5分で「賽の河原」がある稜線に到着する。

ここは左手からの「弓の手コース」との合流地点でもある。字のごとく河原のように砂地で木は生えておらず黒い石がケルンのように積まれて、石地蔵もあり、特異な感じがする。

お目当てのヤシオツツジはちらほら状態でがっかりする。あと10日ほど早いかも。この辺でゆっくりする理由もないので、咲いていないツツジのトンネルをひたすら進む。
前袈裟丸山なるほどツツジは多い。一斉に咲いたら本当に山がピンクに染まることだろう。

ここから小丸山まではゆっくりアップダウンを繰り返して行くが、平地に近く気持ちの良い右手は栃木、左手は群馬の県境尾根歩きができる。
前袈裟丸山この先2カ所ほど賽の河原と同じようなところを通過する。

さらに1607mの小ピークには国土交通省の袈裟丸雨量観測の施設がある。
前袈裟丸山やがて小丸山に近づくと、登山道は石ころがごろごろしていて歩きにくいためにできた笹のなかの道も並行して走っているが、こちらの方が断然歩きやすい。

往路に小丸山に登るつもりだったが、袈裟丸山への巻き道が地図にも表されておらず、道標があったのかどうか気づかず巻き道を進んでしまう。

出たところは次の避難小屋であった。結果的には近道であり楽をした。小丸山には帰りに寄っていこうと気を取り直す。

この避難小屋は鉄製のドーム型でめずらしい作りだが、何か中は圧迫感があるような気がする。トイレも完備されているが、近くにいた女性が用を足そうとドアを開けたとたん、「あっ」と叫んだ。一瞬何だろうかと思ったが、すぐに事情は理解できた。山中のせいか、なかなか手入れは行き届かないようである。しかし、この辺りはシラカバ林の平坦地で気持ちの良いところだ。夏の涼しい林間で一夜を明かすのは別格だろうと思う。
前袈裟丸山ここから笹原とシラカバ林の中の急登を一登りすると気持ちの良い高台に着く。空はいつの間にか真っ青だ。
前袈裟丸山袈裟丸連峰がパノラマ状態で望むことができる。しかし、目指す山は高く、まだまだ遠いといった感じで、これからあそこを登るのかと躊躇する。まさにこの山域はふところが深く、信仰の山という感じがする。

気を取り直して進める。ここを一旦下りシラカバ林やシラビソのなかを過ぎるといよいよ最後の急登に取り付く。

かなりの急登である。根っ子や周りの木を頼りに「よっこらしょ」という感じだ。疲れも最高潮で息を整えながらの40分ぐらいか。

まもなく急登も終わり笹原に出る。南方面が開けてきた。遠く雲海とともに赤城山が見えている。

この辺も白根山ほどではないが、立ち枯れの木が目立つ。ここも酸性雨の影響か。シャクナゲが多く点在している。
前袈裟丸山程なく前袈裟丸山頂に到着。登山口から実に4時間ちょうどであった。

袈裟丸連峰は、前袈裟丸山1878m、後袈裟丸山1908m、中袈裟丸山1903m、奥袈裟丸山1858mなどと峰が続くが、前袈裟丸山が高さは2番目に低いが一般的に主峰とされているので、一応登頂ということにしよう。

後袈裟丸山には崩壊のため通行禁止と書いてあるが、ピストンをする人も少なくは無いようである。
前袈裟丸山山頂からは回りの木々で眺望はないが、後袈裟丸山方向に数十メートル行くと、北方向が開ける。

遠くは至仏山などの尾瀬方向が良く見えていた。庚申山、皇海山や男体山など日光方向は大きく見えるはずであるがガスのため望むことはできなかった。
前袈裟丸山12時ちょうどに山頂を後にする。
先ほどのドーム型避難小屋から、小丸山に向かう。

それほど急登ではないが、疲れもあり、足が重たい。20分ほどで小丸山山頂に到着する。
ここからの展望は良く、先ほどの袈裟丸連峰が一望できる。日光方面は相変わらずガスに包まれていた。
小丸山を下ると巻き道と合流する。あとは来た道を下るだけ。

賽の河原まで約1時間30分かかった。さらに登山口まで1時間30分、午後3時15分塔の沢登山口に到着した。

山行距離・時間 - 往路:6.7km 4時間 / 復路:6.9km 3時間15分 標高差約1030m
総山行時間 8時間15分(休憩含む)
■雑感
塔の沢コースは標高差約1000mとアルプス並みの標高差と長い行程を強いられる。危険個所はほとんどないので、ゆっくり時間に余裕をもった山行であれば、歴史を堪能しながらの深い森のなか沢沿いの気持ちのいいコースとの印象を受けた。なお、弓の手コースは2時間近くの山行時間短縮が図れるので、花を目的の場合はこちらのコースが一般的だろう。
■寝釈迦像の説明(原文のまま)
昔、勝道上人が彫ったともいわれ、また弘法大師が巡錫中この像を見て開眼したとも伝えられ、また徳川初期の作とも言われている。北枕で西方を向いて横たわっている。北枕は頭寒足熱、西方にそびえるヒマラヤの雪嶺は炎熱にあえぐしゃかの生地からは極楽浄土と見なされた。心臓を上方に右手枕で右脇を下方に横たわっている姿勢は身体が最も安楽な体位とされている。この存在について別の伝えによれば、徳川幕府の直轄であった足尾銅山に送り込まれた多数の囚人が病死したので、その菩提を弔うために秘かに彫ったとも言われている。
■相輪塔の説明(原文のまま)
高さ、十八米、巾三米で、自然に出来た。塔石や附近に十六石仏が祀られている。沢入にあったこの塔は、女人の信仰があつく、彼女達が塔石に上がるのを嫌った天狗が一夜のうちに約七粁離れた現在地へ運んだ。その時、上の石から積み上げたので最も大きい台石が最上段に乗り危険な状態にあるがその時、塔の中に封じ込んだ白蛇がお守りしているので崩れないでいると言われている。
■賽の河原の説明(原文のまま)
弘法大師がこの附近に来た時、日が暮れて夜になった。子供たちの泣き声が聞こえるのでその方を見ると、鬼火が見え、大勢の子供が集って石を積み重ねていると、鬼火が赤鬼青鬼となったので皆泣きわめいていた。そこでその責苦を救うため三夜看径(かんき)し済度(さいど)したと言われ、今でも子供の新仏を出した人がここで石を積むと子供に会えると言われている。

リベンジ編 -ふたたび花の山へ-

小丸山

こまるやま (1676m)
平成16年5月23日(日) くもりのち晴れ
群馬県東村(みどり市

■行 程:折場登山口-ツツジ平 - 賽の河原 - 雨量観測所 - 小丸山 - 避難小屋 - 雨量観測所 - 賽の河原 - 折場登山口

袈裟丸山ルートマップ

■サムネイル画像解説: ※サムネイル画像に赤枠のあるものは拡大できます

小丸山登山口からいきなり丸太の階段が続く。すぐに道は一般コースと健脚コースに分かれる。ここは健脚コースを進むが、さほどの健脚でなくても登れる。結構な距離があるのかと思っていたが、すぐに一般コースと道を合わせ、ここから稜線をゆるやかに登っていく。
小丸山途中にはヤマツツジが色あざやかに所々に見えるようになる。やがて、休憩にちょうど良い見晴らしに着く。
小丸山この先左側が沢に深く落ちた草原と、右は深い森の対照的な光景が見えている。登山道はこのちょうど境の所をまっすぐに急登が続いている。
小丸山右手の森には期待していたシロヤシオがちょうど満開である。その数の多さに驚く。ガスに包まれたシロヤシオの群落は幻想的な様相を醸しだしている。
小丸山ここを登りつめるとカラマツや広葉樹の森に変わってくる。シロヤシオに混じって、トウゴクミツバツツジの紫が目立って多くなる。まさにツツジのトンネルである。

主稜線にはいるとやがて「ツツジ平」に到着する。太い丸太を組み合わせた展望台が設置されている。
ここから100mほど進むと、賽の河原に到着する。
この辺からのツツジも見事だ。右に左にシロとムラサキが飛び込んでくる。これに加えて新緑のミドリが混じりいい雰囲気である。
小丸山芝生を敷きつめたようなカラマツ林がある。途中で一緒になった方が、「ゴルフはやるかい?」と聞くので、何でこんなところでゴルフなのかと奇怪ではあったが、「やりますよ」と答えておいた。
なるほどここがゴルフ場かと納得した。
小丸山カラマツ林のなかにトウゴクミツバツツジやシロヤシオが点々と映えている。
小丸山小丸山までツツジの群落を左右に見ながらの快適な稜線歩きだ。小丸山にて休憩のあと、避難小屋まで下りることにする。やがて今度はシャクナゲが迎えてくれる。ここから袈裟丸にかけてはツツジからシャクナゲにバトンタッチとなる。
小丸山帰りに寄った小高くなったところからは、ツツジが入り乱れてまさに庭園の様をなしている。

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