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Tak@se Web Echo

~ 山歩きの記録と山岳写真集 ~


栗駒山

くりこまやま (1627m)
日本二百名山/花の百名山
2005(H17)年10月9日(日) 晴れ
岩手県/秋田県/宮城県

■行 程:須川温泉登山口 - 名残が原 - 苔花台 - 地獄谷 - 昭和湖 - 天狗平 - 栗駒山 - 産沼 - 三途の川 - ゼッタ沢 - 苔花台 - 賽の磧 - 須川温泉

■栗駒山ルートマップ:【ルート確認用】 【拡大表示・印刷用】

サムネイル画像解説: ※サムネイル画像に赤枠のあるものはポップアップ拡大できます。解除は×または写真枠外をクリック。

 今回山行はちょっと遠出して岩手を目指す。温泉とみちのくの紅葉-名峰栗駒山の2つが目的。この地に来てこの組み合わせははずせない。

 須川温泉は栗駒山の北麓、標高1100mにあり毎分6000リットルの豊富な湧出をほこり、お湯が川となって流れている。強酸性で乳白色の温泉はいかにも身体によさそうな感じだ。平安時代からの歴史があり昔は酸川と書き、その後酢川になり、現在の須川になったとされている。

 栗駒山は宮城、秋田、岩手の3県にまたがり、宮城県側で栗駒山、岩手県側では須川岳と一般的に呼ばれているが、他に酢川岳、大日岳、駒ヶ岳、お駒岳などの呼び名もある。田中澄江の著書「花の百名山」でもあるが、なんと言っても全山が紅葉に染まる様はみちのくの名峰に値する。
栗駒山一関ICのすぐ近くに景勝地でもあり、「かっ公だんご」でも有名な厳美渓に寄って一路国道342号線を一路須川温泉に向け車を進める。燃料が心細くなっていたが大丈夫だろうとたかをくくっていたが、次第に農村部になりSSがない。

燃料計の示す残量を推定するとまだ100k以上は走れる計算だが、メータの位置がEに近いと何とも心細い。

結局、燃料の心配は明日の高速に乗る前まで引きずってしまった。
次第に高度を上げてきて道路も所々狭くなってくる。
栗駒山須川温泉に2時過ぎに着いたがあいにくの冷たい雨、風。

すぐ近くに須川野営場があり、管理人に聞くと、「こんな日に?」と無愛想。出鼻をくじかれ意気消沈。車中泊にしようとあきらめる。

ちなみにこの須川野営場は、1人100円(1泊200円)で一関市が管理している。
栗駒山大きな駐車場の目の前には「須川高原温泉」という温泉宿があり早速温泉につかる。内風呂は「千人風呂」、露天風呂は「大日湯」の名前があるが、外は寒いので内風呂に入ってみる。どちらも500円だが、別々に支払が必要。

比較的大きな風呂で湯気が立ち込め、先が見えづらいなか、湯も白濁しているため浴槽の様子もわからず足元を確かめながら入る。ちょっと熱めで酸性のためか身体がしみる感じがする。

臭いは硫黄臭、味は酸味。洗い場は3つほどしかなく、洗うというよりは湯につかるという感じだ。
栗駒山雨は降ったり止んだりで風が少し強くなってきたが大したことはないようだ。

夕飯の支度をする。今夜はカレーライスだ。ガスの一方がガス欠になったがなんとか今夜の分は間に合った。

何にもすることがないので、明日の天気に不安ながらも午後7時過ぎには寝てしまう。このまま朝まで眠れればいいが、どうも枕が違うと勝手が違う。何回も起きては外の様子を伺う。

ガスが勢い良く流れるのが見え、星が見えたと思ったら雨が降ったりで天気の行方はさっぱりつかめない。深夜になって登山客と思われる車が徐々に多くなってきているのがわかる。
栗駒山ガスも途切れて明るさも増し青空も少し覗いてきた。こうなると今日の登山の気持ちも高ぶる。

登山道は露天風呂と足湯の前を通り抜け、岩場をお湯の川沿いに上っていく。湯はあちこちの岩盤の隙間から湧出しており白い湯気を立てながらすごい勢いでまさに川となっている。

この上の少し行ったところの登山道沿いに木造の小屋があるが、ここは「おいらん風呂」で、湯治客などがよく利用し、ムシロを敷いて蒸気浴をするところで中はカーテンで仕切りがされている。
栗駒山紅葉(黄葉)もちょうど良し。いきなり黄色のトンネルとなる。すごさに息を呑む。こんな黄色がメインの黄葉は見たことがない。

20分ほど歩くと湿原の名残ケ原を見下ろす展望台に差し掛かる。この情景を言葉にして何というのか文学的表現力のない筆者にとっては表現の仕様がない。写真で納得してもらおう。
栗駒山湿原の終端には大きな案内板があり、剣岳方向への道を分けているがここは真っ直ぐ苔花台に向かう。

ゼッタ沢沿いに進めると苔花台に差し掛かるが、ここにも分岐があり、左へ行くと自然観察路コースとなり同じく山頂で合流する。ここは直進し須川コースを進む。
栗駒山ゼッタ沢を渡ると硫黄の臭いが次第に強くなってくるが、登山道は数百メートルに渡り延々と柵で覆って左下の沢沿いを立ち入り禁止としている地獄谷に入ってくる。

この沢筋一帯は噴気がただよい木々、草など生きるもの一切を寄せ付けない。時折り野生動物の死骸があるそうだ。
栗駒山まもなく昭和湖に到着する。ここは昭和19年の小爆発により出来た火口湖で、白っぽい砂礫に囲まれ青白い色の水をたたえながら周りの紅葉を写していた。

休憩中の方に今年の紅葉の話しを伺ったが、ナナカマドなどの赤が鮮明に出ていないことや、葉が痛んでいるとのこと。さらに中腹以上の紅葉は9月末がいいとの話しをしていた。
栗駒山ここからやや急登になってくる。
相変わらず丸太の階段が続いている。階段は全体の登山道がこのようになっている。

前日の雨のせいか道のほとんどは泥んこ状態でズボンのすそは泥だらけだ。
栗駒山頂上付近まで覆っていたガスも消え山全体が見渡せるようなり、全体を覆う紅葉に圧倒される。今年はナナカマドの赤がさえないようであるが、ツツジ類の赤が頑張っており、バランスを取っている。

特徴的なのは須川温泉付近の黄色が主役なのが、この辺から頂上にかけては赤が主役となっていることだ。頂上から中腹付近まで紅葉も過ぎた感じがあるが赤、黄、緑のバランスがいい。
栗駒山それにしても人、人、人で、こんな登山はしばらくぶり。手軽に2時間ほどで登れる山なのでハイキング気分での軽装備で老若男女が登ってくる。

後ろを振り返って見て尾瀬の人波を思い出す。帰りの下山者は渋滞で途切れるのを待つしかない状況で、何となく苛立っているようにも見える。
栗駒山天狗平に到着する。ここは分岐しており十字路になっている。宮城側も絶景だ。イワカガミ平から通じるなだらかな稜線も紅葉真っ盛りだ。
雲が流れ、紅葉の山肌をなでる。それを待ってシャッターを押す。
栗駒山頂上目指してあと800mとひと踏ん張り。途中に天狗岩がウサギのオブジェのように突っ立っている。その先小ピークを経て程なく頂上に到着する。
栗駒山栗駒山頂上は宮城側からの登山者とも一緒になり、それはもういも洗いの状態。記念撮影も順番待ち。頂上は広いがシートを広げて思い思いの昼飯。居場所を確保するのも大変だ。いつもののんびりと景色を楽しむ余裕はない。
栗駒山この渋滞のなか同じ道を帰るのは先ほどの行き交う光景をみてうんざりだ。山まで来てイライラはたくさんだ。ここは迷いなく別なコースをとる。

ここで近くにいた夫婦の会話。
夫:「帰りはこっちのコースにしよう」、
妻:案内板を見て「このコースは3.9k、今登ってきたのが3.7k、0.2kも長いよ~」、
夫:「???」。

疲れた身体に200mでも相当長く感じるのもわからないわけではないが...。
栗駒山山肌に散りばめられた紅葉に息を呑む。
栗駒山産沼(うぶぬま)を経由して苔花台で合流する「自然観察路コース」に入り下山にかかる。

圧倒的に人はいない。最初は急下降だが次第に道はなだらかになり気持ちよく進む。時折り登って来る人がいるが、気にならずマイペースで足を運ぶ。産沼を過ぎると道は次第に下降していく。
栗駒山川を渡るが、この川の名前がなんと「三途の川」。

まだこの川に足を踏み入れるのは年齢的に早いがここを通らないと帰れない。なんともすごい名前をつけたものだ。
栗駒山道は再び登り返し、さらに下降するとゼッタ沢を渡り苔花台で道は須川コースと合わせる。名残ケ原の分岐を「賽の磧(さいのせき)」方向に左折する。

林を抜けるとこれまでの紅葉の林とは一変し、殺伐とした白っぽい瓦礫の地になる。剣岳などをはじめ一帯が噴火跡だ。岩を点々と配しそこに紅葉がアクセントをつける自然の庭園を思わせる。
栗駒山ほどなく須川温泉に戻ることになるが、大混雑にびっくりする。

大駐車場は満杯で、路上駐車は両側に、こんな状態で出入りする車両が渋滞を引き起こしている。まさに観光地化した所である。なんとここまで来るのに4時間もかかった人もいたとか。
栗駒山早速、今度は露天風呂の大日湯に入る。広さは内風呂と同じような感じで、周りは木で全面に板を張っており腰掛けて身体半分をつかることが出来る。湯は乳白色で底まで見えないがコンクリートと思われる。湯は高台の岩場からホースで直接惜しげもなくバシャバシャと流し込んでいる。

洗い場は例によって4ヶ所で、一応シャンプーもそろえているが、蛇口から湯が出ないのには困った。頭から水をかぶることになり、かけるたびにあまりの冷たさに「うおーー」と奇声をあげてしまう。

正面にシンボルの大日岩を見上げ、紅葉を鑑賞しながらの露天風呂は何とも言い難い至福のときである。

歩行総延長:9.3km  総山行時間:6時間(休憩含む)

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