武尊山へ到るにはいくつものコースがあり、岩場、クサリ場などの難所も紹介されている。何度も登る機会のある方は別だが、特に始めての場合はコース選択に迷うところで、どのコースを選んでも山頂まで4時間は有にかかるものばかり。
結局悩んだ末に、花咲コースと言われるスノーパル・オグナほたか(武尊スキー場)から登るコースを選択する。
スキー場に入って最初の駐車場が右手に登山者用に案内されている。しかし、まだ先に道は続いており、ここでいいのか入口付近で悩んでいるとスキー場方面から車がきて、「山ですか?」と聞かれる。まだまだ先に入れるとのこと。
スキー場は夏の期間は休業のようで、草刈りなどコースの管理はしているようだが、失礼してコース内の車道を奥まで進む。
途中砂利道となるが、その先はゲレンデ内に車1台分ほどのコンクリート道が敷設されており、そこを急坂ながらかなり高台まで上がることができる。レストハウスを過ぎ、最終のリフトの中間地点まで舗装道は続いており、そこで駐車となる。正式?なルートからは約1時間以上短縮の感じ。標高1600mあたりか。
ゲレンデ端に登山道標もあり、木製の階段も設置されている。最初からかなりの勾配があり、息を整えながら進む。草刈りをした直後のようできれいになっていた。残念ながらガスが深く立ち込め周りの状況がつかめない。
ゲレンデの勾配が結構きつい。ゲレンデをはずれ左手に折れて雑木林に入り登山道らしくなる。すぐに旭小屋方面からのコースと合流する。ここから前武尊まで1km足らずの距離。
最終リフト駅を右手に見下ろし、早速ロープの助けを借りながら岩混じりのやや急登を前武尊に向け進む。
途中に石仏がいくつかあり、信仰の山を感じさせる。
登山道を飾るのはエゾリンドウ、オトギリソウ、アキノキリンソウとさすがに少なくなってきた。
収穫の季節に移り変わってきたが、その主役はオオカメノキ。
前武尊(2040m)には、鉄骨造りの社に「日本武尊像(やまとたけるのみこと)」が祀られている。
ここから最高峰である沖武尊までの標高差はわずか120m、距離は3.4kmと大したことはないと思うのだが、約2時間の標準タイムでそううまい話はない。
前武尊からは下っていき剣ケ峰に向かう。剣ケ峰は2つの峰をなしており岩場の難所であるが、南峰は91年に登山道ごと崩壊したため、道は右手に巻いている。
やがて、巻き道は峰の鞍部で従来の剣ケ峰からの道と交差し、今度は左手を巻くように道はつけられている。しかし、北峰のほうは通行可能のようだが、巻き道もあり通る方は少ないようだ。
見上げると垂直の岩場が立ちはだかっており、修験者の苦行が偲ばれる。
巻き道は斜面のうえに段差や根っこで歩きにくい。
北峰の上り口は急峻な岩壁。以前は通過するのに苦労したに違いない。
アップダウンを繰り返しながらの稜線歩きではあるが、ガスのためその全貌がつかめず、ただひたすら前に進む感じである。
「家の串」手前で今日唯一の青空が!
絶景を期待したが、無情にもほんの数分だけに終わった。
稜線上のピークでもある「家の串」。
ハイマツをまたぎながら。
家の串~中ノ岳間にはヤセ尾根の岩場が続き緊張を強いられる。
スタート時点で一緒だった別のパーティーはここで勇気ある撤退となった。
透き通るような赤が華やかなオオカメノキ。
紅葉もちらほらと。
大小のアップダウンも終わり、中ノ岳の鞍部には「中ノ岳ジャンクション」と何だか高速道路みたいな名前の三差路に出る。
右手方向から武尊牧場コースと道を合わせる。
一面深い笹原となり、中ノ岳中腹を巻くように下降していくと、まもなく「笹清水」と呼ばれる非常に冷たい水にのどを潤すことができる。
「菩薩界の水」とも表現されている。
やがて道は細長い窪地になってきて、「三ツ池」に差し掛かる。何か頂上付近の様相とは違うようなところだ。名前のとおり3つの小さな池がある。
「鳳の池」とも表現されている。
池のほとりには、さわやかな緑色の苔が広がっている。
頂上直下にもある日本武尊像。
岸壁を巻くように頂上はもう間近。
武尊山頂に到着。
スタート地点のスキー場脇に咲くヤマハハコの群落。