金峰山の登山口のひとつでもある大弛峠(おおだるみとうげ)は、標高2370mまで車で登ってしまう。峠と名のつく高さは日本一とか。
そんなところから日本百名山に登るとはいささか後ろめたい気持ちがしないわけではないが、とにかく歩いてみなくては...。
登山口である大弛峠へは、山梨市から林道牧丘川上線をくねくねと登っていく。
けっこうアプローチが長いが、きれいに色づいた広大なカラマツ林を進む。
それほど広くない駐車場は満杯でかなり手前に片側路上駐車。ちなみに長野側は砂利道となっている。
登山口からコメツガの林に入って行く。どういうわけかコメツガは若い木が多い。
夕べ降った雪が薄く白くなっている。
やや登りつめると道は平坦になって来る。
下って朝日峠の鞍部を通過し、再び登りになる。
高度にして100mほど上ると2528m地点で、いきなり開けて岩場に出る。
ここは眺望がよく、朝日岳頂上を思わせるが、頂上は岩稜帯を抜けて林間にある。
左手には富士山、右手下方にはカラマツ林が輝いてきれいだ。
前方には金峰山の頂きが木々の合間に望める。
朝日岳前後にはコメツガの枯れ木帯で酸性雨の影響だろうか。無残にも異様な雰囲気だ。
夕べの冷え込みから、木々には霧氷の花が咲ききれいだ。
コメツガの霧氷
朝日岳から先は鞍部まで急坂を下って行く。
これまでこきざみに大小のアップダウンがあるコースだ。
徐々に登って行くと鉄山を巻くように登りもやや急になり、最後の踏ん張りとなる。
森林限界に入ってきたかなと思う頃、程なく荒涼とした地に達する。
ここは金峰山の東肩にあり、山頂はまだ先となるが、ほぼ山頂部と言っても良いくらい。
ケルンがいっぱいあります。
冷たい風もほどほどにあり、じっとしていると寒い。
稜線には岩がゴロゴロひしめいているところもあるが、快調に進める。
最後に岩のトンネルをくぐったところが山頂だ。
山頂からは八ヶ岳がくっきりと望める。
頂上から少し岩稜帯を下りていくと、おなじみの五丈岩という巨大な岩が立ちはだかっている。
金峰山のシンボルとも言える岩で、金桜神社の本宮でもある。
この五丈岩、慣れている人だとてっぺんまで登れるそうだ。どこまで可能か挑戦してみたが、中段まではわりと楽に登れるが、それ以降は手掛かりが見つからず、無理をせずにやめた。
五丈岩を裏から見るとご覧のとおりで、なんか不安定に見える。
奥に八ヶ岳連峰、その手前右端にはこれも日本百名山の瑞牆山。
瑞牆山
あの岩峰群をどのようにして登るのか。
富士山を忘れていたわけじゃないけれど、あまりに天気が良すぎ、逆光気味で写真撮影には不向きの方向。まぶしいくらいだ。
このコース全体の印象として、往復8km、大弛峠と山頂の高低差はわずか230mぐらいで簡単そうに見えるが、思ったよりアップダウンの数が多く甘くみてはいけない。特に帰りの朝日岳への登りは疲れた体で一番つらいところ。しかし、息抜きの場所もあり、眺望は抜群で南アルプス、八ヶ岳、富士山など360度十二分に楽しめる。