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Tak@se Web Echo

~ 山歩きの記録と山岳写真集 ~


庚申山

こうしんざん(1892m)
栃木百名山

2016(H28)6月11日(土) 晴れ
栃木県日光市

■行 程:銀山平駐車場---天狗の投石---一の鳥居---鏡岩---夫婦岩---仁王門---旧猿田彦神社跡---庚申山荘---お山巡りみち分岐---大胎内---≪コウシンソウ≫---庚申山---富士見台---お山巡りみち分岐---庚申の岩戸---めがね岩---鬼の耳こすり---天下の見晴---カメ岩<コウシンソウ>---旧猿田彦神社跡---一の鳥居---銀山平 <ピストン>

■庚申山ルートマップ: 【ルート確認用】 【拡大表示・印刷用】

■サムネイル画像解説:サムネイル画像に赤枠のあるものは拡大できます

 庚申山は、日光山開山の祖、勝道上人によって開かれ、信仰登山の山として知られている。現在は危険個所には鎖や梯子が架けられ、比較的楽に歩くことができるが、それでもちょっと足を踏み外すと垂直に落下するような箇所だらけである。昔を想うと想像を絶する苦行を強いられたのではと思われる。
 今日も滑落事故があったと途中で聞いた。幸いにも骨折で済んだとのこと。
十分に注意しなければならない。

 2日前に地元新聞の朝刊に写真入りでコウシンソウ見頃の記事が掲載された。これは今日は大混雑必至かと思いながら早朝5時前には銀山平に着いた。すでに10台ほどが駐車しているが、このなかには前日泊まりの方も含まれているものと思われる。


庚申山
庚申山は3度目の山行となる。
銀山平駐車場を5時15分に出発する。
庚申山
  実質的な登山道としては「一の鳥居」からだが、そこまでの4km弱を林道歩きとなる。林道から下を見ると鋭く切れ落ちた渓谷に庚申川が流れている。
庚申山
 この林道はほぼ全線にわたり落石に注意しなくてはならない。以前歩いていた時に目の前に落ちてきたことがある。ただ、対策といっても山側を避けて歩くぐらい。
 一般車両は通行禁止となって銀山平には頑丈なゲートがあるのだが、乗用車が1台追い越して行った。どうも見た感じでは登山者らしい。(どうやって入ったのか?)
 そのあとマウンテンバイクが来た。(こちらはOKでしょう。) 
庚申山
 単調な林道歩きが続くが、終盤になると右手斜面に
「天狗の投石(てんぐのなげいし)」といわれる広範囲にわたって岩石が堆積している場所がある。
人工的なものなのか、あるいは地殻変動など自然現象なのか。
庚申山
 
 約1時間ほどで、「一の鳥居」に着く。
ここで林道は終点となるが、林道歩きだけで標高差はほぼ200mと緩やかだ。すぐ近くには「庚申七滝」があり遊歩道が整備されているが、かつての大水で荒れている。ここから道は登山道らしくなり、山間に分け入って行く。        
庚申山
 庚申川の支流の水ノ面沢沿いを何度か木橋を渡りながら進む。 

 
庚申山
 所々に「丁目石」があり、キリのいい「百丁目」を通過する。文久3年(1863年)に建てられたというから江戸時代末期の頃だ。
 
庚申山
 百丁目からほどなく「鏡岩(かがみいわ)」に到着する。
またの名を「孝子別れの処(こうしわかれのところ)」ともいい、猟師が山で凍死寸前のところ大ザルに助けてもらう代わりに、猟師の娘を大ザルの妻に差し出すことを約束してしまい、末の娘が嫁いだが既に人間の姿ではなく、この大岩の前で父娘は涙で別れた場所で悲しい伝説がある。 
庚申山
 「夫婦蛙岩(めおとかえるいわ)」を通過。確かに蛙に見える。

 
庚申山
 庚申山の守護神、仁王門。
 
庚申山
 旧猿田彦神社跡境内に入ってくる。
庚申山
 旧猿田彦神社跡。奥に社みたいな屋根が見えるが確認していない。
 ここを右手に行くと「お山巡りのみち」となり、上級者向きであること、雨の日は中止することなどの注意書きがある。
 左手に行くとすぐに庚申山荘があり、庚申山への直登コースとなり、お山巡りコースを経由するよりも短時間で山頂に至る。
庚申山
 庚申山荘に着く。
 一の鳥居から標高差約440mを登ってきたが、急坂はほとんどなくハイキング気分で歩ける。

 右手には水場やバイオトイレが設置されている。
庚申山
 山荘裏手に控える険しい岩場。写真はお山巡りコース付近。
庚申山  山荘裏手にはクリンソウの群落がある。
庚申山
 山荘から右手に行くと水場があり、この先から庚申山登山の核心部に入ってくる。慎重にいこう。
庚申山
 裏見の滝付近。
 上を見ると完全にオーバーハングして迫ってくる。 
庚申山
 

 コウシンコザクラ、ヒメウツギが岩壁に張り付き咲いている。
庚申山
 峻険な岩場を進む。
 
庚申山
 ここはまず梯子を上る。
庚申山

下は絶壁、鎖を頼りに次の梯子へ。  
庚申山
 「一の門」、「かえるの番人」ともいうが、中央の岩がかえるに見立てているが、はたして見えるかな?
 ここを通り抜けるとすぐにお山巡りコースとの分岐がある。

 
庚申山
 続いて一の門の上方に「大胎内」がある。登山道から一段高い場所にあり、腹這いにならないと抜けられないほどの狭さ。

 この脇に幅20センチほどの絶壁の道が続いている。かつてはこの岩場にコウシンソウが自生していたが探せど見つからなかった。

※2003年には自生しているのを確認しており、2006年には見つけられなかったので既に絶滅したのかもしれない。

 
庚申山
 さらに岩場を梯子などを使い高さを増していく。
やがて、コメツガなどの針葉樹林帯に変化してくる。
 
 山頂が近づいてきたことが感じられると、登山道右手奥の大岩にコウシンソウの自生地がある。ここは、道から見えずらいところにあり、気がつかず通り過ぎてしまう方もいるようだ。

 
花の状態も良くコウシンソウが大きな岩に張り付くように咲いていた。
コウシンコザクラも寄り添うように咲いている。 庚申山
庚申山
庚申山
庚申山
庚申山
 ほどなく庚申山山頂に到着する。
写真撮影にかなりの時間をかけたせいか登山口から5時間40分ほどかかった。3時間台が標準タイムかな。

 山頂は、ほとんど眺望はないので、ここから1分~2分ほどの眺望の良い「富士見台」に行ってみる。大半の方はこちらに立ち寄るようだ。 
庚申山 
 皇海山(2144m)が堂々と存在感を示している。左手尾根の「鋸11峰」と呼ばれる峰々を辿って皇海山へ続くが、この峰、見た目にはそれほどの峻険さは感じられないが、難所のようだ。日帰りは超ハードな山行となる。
帰りの温泉(国民宿舎かじか荘)で一緒になった方の話では、皇海山日帰りをされたそうで身体が相当痛そうであった。
庚申山
 
こちらは中央に錫ヶ岳、右手には雲に隠れて裾だけが見える白根山。

庚申山
 帰路は、お山巡りコースから下山する。

 お山巡りコースは庚申山荘から裏手に見えた岩壁をトラバースする感じで道が付けられている。ただし、絶壁、梯子、クサリのコースでもあり慎重な歩きが必要だが、多くの一般登山者が歩いているようだ。
庚申山
 
 「庚申の岩戸」

 奥に社がある。
庚申山
 
 往路よりも峻険な道になるので、慎重に!
庚申山
 
 めがね岩を通過する。
 通過後の写真のほうが、”めがね”らしいのでこちらを採用。
庚申山めがね岩方向から望む鉄梯子。かなりの角度だ。
庚申山
 
長い鉄梯子を上る。この梯子、足を乗せると梯子が浮き上がったり沈んだりしてブラブラ不安定。岩と梯子の間に指を挟んでしまったが大事には至らなかった。
庚申山
 
「鬼の耳こすり」
狭い岩のすきまを橋と階段で上がる。

「鬼の耳こすり」を上りきると、「馬の背」と呼ばれる両側が切れ落ちた狭い尾根に出る。
その反対側は行き止まりで断崖絶壁の「本社の見晴」といわれる眺望の良いところ。
庚申山
庚申山
庚申山
庚申山
庚申山
 
まだまだ息が抜けない。
庚申山
 この橋は吊り橋風だが、反りが太鼓橋の裏返しのよう。
 これも”天の浮橋”か?
庚申山
 
 ユニークな岩に見とれる。
 カメ岩(右)、ツリガネ岩(左)で、この左手の岩壁にコウシンソウ、コウシンコザクラが咲いている。
庚申山
 
 カメ岩付近のコウシンコザクラ。
庚申山
 岩場地帯もほぼなくなり、コメツガ、ミズナラ、ツツジ類、ササ原などが多くなり疎林帯に変化してくる。シロヤシオはほぼ終わりだが少し咲いていた。

 梯子の3重連だ! 庚申山に設置されている梯子はこのタイプが多い。ちょっと歩きづらいが慌てずにゆっくり安全に上り下りできるので、これも良しかなと思う。
庚申山
 尾根の途中から右手に入り、急坂を九十九折りに下っていくと、青い屋根が見えてくる。宇都宮大学ワンダーフォーゲル部の嶺峯山荘だ。


 嶺峯山荘からすぐ先に旧猿田彦神社跡がある。ここから先、銀山平までまだまだ遠い。林道ではカゴ岩で会ったグループと相前後して歩きながらの帰り道となった。
  神社跡から銀山平まで1時間40分ほどでかけ下りる。
庚申山スライドショー
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