積雪期、残雪期の山行は、2年前に日光市の雲竜渓谷と庵滝の2か所を、いずれも氷瀑・氷柱巡りを行って以来だ。
しばらくぶりに白銀の世界に分け入る。
白銀の世界は、すばらしい絶景を堪能できるが、反面、寒さは厳しく、道迷いや暴風雪、雪崩などの危険も伴うので、行動は慎重のうえにも慎重を期すことが必要。
今回の山行は、比較的安全で登りやすい檜枝岐村の会津駒ヶ岳に。通称「会津駒」と呼ばれ、人気の山だ。
会津駒ヶ岳は今回で4度目となるが、過去3回はいずれも7月の花の時期に訪れている。花の百名山に恥じないすばらしい花々を見せてくれた。
今回の山行では天気も良かったせいか、百名山では富士山をはじめとして13座、二百名山は7座、三百名山は5座と多くの名山を堪能できた。
会津駒の登山口はいくつかあるが、多くの方は「滝沢登山口」を利用しているようだ。
桧枝岐村に入り、国道352号沿いの滝沢登山口を右折すると、すぐに左側に公衆トイレがある。ここから舗装路(道幅はそれほど広くない)を約1.7km地点が最終駐車場となるが、この最奥の駐車場は路肩に20数台が止められる。但し、ここは車両の転回場所になっておりスペース確保の配慮が必要だ。
ここが満車の場合は、林道途中にいくつか空地(駐車場)がある。それでもダメなら国道沿いにある村営グランド駐車場(滝沢登山口第2駐車場)へ。
夜9時過ぎに、最奥の駐車場に着いたが、幸いにも空きが数台分あった。

最奥の駐車場に車中泊。
朝焼けに染まるなか、今日の天気は問題なしと確信し、5時に出発する。
駐車場から約150mほど歩くと、登山口に到着する。

舗装路の急カーブ先端から延びた急傾斜の木の階段からスタートする。

登山道はほとんど尾根上を基本にジグザグにつけられ、スタートから急坂に息が上がる。
登山口から全く雪は消えており、その代わりに辺りの木々は新緑の林間で、タムシバ、ひときわ濃い紫色のムラサキヤシオツツジなどが咲いている。(後述)

標高1500mを少し越えた辺りで登山道に雪が見えてきた。
ただ、所々に残っているだけなので、そのまま進む。

しかし、さらに50mほど標高を上げると雪一面の銀世界に!
持ってきたチェーンスパイクを装着する。
そろそろ水場かなと思っていたところ、GPSを確認したら1600mを越えて、とっくに過ぎていたのが判明・・・!?。

1650m付近からルートは大きく左方向に折れ、右手に会津駒から大戸沢岳稜線が望めるようになる。

こちらは稜線の左側から燧ヶ岳が望める。

これまでに林の中を歩いてきたが、稜線上は登り基調はもちろんだが、アンジュレーションがあり雪道の直登はキツイ。
陽射しが射すところは、すでに雪のしまりが緩んでチェーンスパイクでも歩きずらくなってきた。

燧ヶ岳の右奥に至仏山が望める。さらにその隣にちょこんと景鶴山。

雪をまとった富士山がくっきりと見えた!!!
~富士は日本一の山~と歌われるように、やっぱり富士は日本一の山だと実感する。

疲れが出始まるころ、さらなる頑張りどころが・・・。
大きく2段のうねりが見える。転々とルート目印のポールが立っている。
直登すると駒の小屋に続いているが、遠くから見た目には素晴らしい光景だが。

ポール2本分を区切りに、歩いては息を整えるの繰り返しとなる。

会津駒ヶ岳山頂部を仰ぎ見る。

会津駒稜線から新潟の山並み(妙高山、火打山)が望める。

駒の小屋に到着。
小屋前のテーブルで一休み。
(雪を掘って休憩しやすいように工夫してある)

男体山ファミリーが勢ぞろい。(駒の小屋から)
父:男体山(2486m---役職:日本100名山・栃木100名山)
母:女峰山(2483m---役職:日本200名山・栃木100名山)
長男:太郎山(2368m---役職:日本300名山・栃木100名山)
次男:大真名子山(2376m---役職:栃木100名山)
三男:小真名子山(2323m)

我がふるさとの山、高原山系の山並みを裏側から望む。
こちらは、福島・栃木・茨城の3県にまたがる特に那須北部地域を中心とする山並み。

駒の小屋からいよいよ会津駒ヶ岳山頂を目指す。
距離にすると500mぐらいだが、相変わらず陽射しは強く、山頂手前の斜面は雪が緩んでいる。

山頂への最後の急坂を登る。
湿った雪が靴にまとわりつきチェーンスパイクも効きづらくなっている。

会津駒ヶ岳山頂に到着する。
山頂標識はまだ全体が出ていない。
日本百名山・会津駒ヶ岳山頂から望む日本百名山(富士山、燧ヶ岳、武尊山、至仏山)の雄姿。

会津駒山頂から北を中心として左右2枚の写真を合わせて約90度の範囲を望む。

中門岳へのルート。山頂は写真右端方向にあり、会津駒山頂から2.2km。
中門岳まで行ってみようと予定に入れていたが、疲れもあり断念した。
多くはないが、足を延ばす方も見受けられる。
会津駒山頂から下った先に雪庇が見られる。
雪解けが進むとルート上には多くの高山植物が咲き誇る。特にハクサンコザクラの群落は見ごたえがある。
参考:
2012年-ハクサンコザクラの群落

帰路につくが、会津駒山頂からの下りはかなりの急坂だ。中には尻セード用の用具も持ってきている方がいたり、まったくお尻だけのスタイルで下りる方もいる。
陽射しが強く、雪もだいぶ緩んできているのでチェーンスパイクはあまり効かない。
ズルズルと滑りやすいので、お尻から転倒しても何ら危険はないが、決して頭から転倒しないよう注意する。
帰りは駒の小屋へ寄らないので、ショートカットして登ってきたコースに合流する。

緩んだ雪に足を取られながら下降する。
往路で通り過ぎてしまった「水場」に寄る。
(往路では、比較的広い林間のため、足跡もあちらこちらにあり、水場から離れたところを歩いていたようだ)
水場といっても、この時期は雪に埋まっており利用はできない。

水場を過ぎると登山道は雪解けで洪水?状態。
足の置き場をどうするか迷うところもある。
それにしても陽射しが強く、熱い。
本来着衣の調整をすべきだが、もう少しで登山口なので、我慢して下降する。
山頂からちょうど2時間を要し、12時50分、無事に登山口の木製階段を下りた。

登山口の1100mから1400m付近までは完全に雪はなく、その代わりに木々や花々が待ってましたとばかりに勢いを増している。

紫色が鮮やかな、ムラサキヤシオツツジ。

目線の比較的高い位置には、純白のタムシバ。

オオカメノキ(ムシカリ)は、花のつくりが芸術的で何とも素晴らしい。

こちらは、トウゴクミツバツツジと思われる。